研究課題
廃棄Al、Siから水素とX型ゼオライトを同時製造するプロセスを提案した。廃棄Al、Siを個別に処理して得られる有価物(Al:Al(OH)_3、Si:Na_2SiO_3)は、いずれも安価(数十円/kg)であり、実用化にはより高い付加価値の製品が求められる。そこで吸着剤などに利用され、市場価格が1000円/kg程度のX型ゼオライト(Na_<86>Al_<86>Si_<106>O_<384>・xH_2O)の合成を試みた。実験結果は、廃棄Al、Siを原料とした場合においても、市販品と同等な比表面積(500m^2/g以上)およびSiAl比(1.23)のX型ゼオライトを合成できることを明らかにした。さらにゼオライト合成時に得られた残渣溶液を原料として循環利用したところ、その繰り返し利用回数はX型ゼオライト製品の特性に影響を及ぼさないこと明らかにした。このプロセスの確立により、廃棄金属の有効利用率を上昇させ、残渣溶液処理における費用と環境負荷の大幅削減が期待できる。ゼオライト合成における反応機構解明の研究は少なく、その多くはX型ゼオライトが対象であり、付加価値の高いX型ゼオライトの報告は極めて少ない。そこでX型ゼオライトの合成プロセスを速度論的に解析した。合成時の水溶液温度が合成速度に与える影響を体系的に調査し、その現象説明にポピュレーションバランスモデルを適用した。その結果、反応におけるゲル相の溶解速度定数および析出速度定数、X型ゼオライトの核発生頻度因子およびX型ゼオライト粒子の成長速度定数の温度依存性を明らかにした。またモデルにより推定した粒径分布は、実験結果と傾向的によく一致し、ゼオライト製造プロセスに広く有用であることを示唆した。
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International Journal of Hydrogen Energy (In press)
ケミカルエンジニヤリング Vol.53, No.7
ページ: 36-41