研究概要 |
オンライン学習を行うパターン分類器にとって,学習対象の様々な変化に対応する能力は実世界問題を扱う上で必要不可欠である.特に,突然の変化に対応するためには学習対象の変化がどの時点で発生したかを検出する必要があるが,オンライン学習において正確かつ高速に変化を検出することは非常に難しい.申請者はこれまで動的環境下における学習対象の変化に対応するため,Adaptive Classifiers-Ensemble (ACE)システムを提案してきたが,検出の正確性・高速さに問題を抱えていた.ノイズや緩やかな変化が存在する環境下においても,突然かつ重大な変化のみを高速に検出できる手法を実現するために,我々は様々な性質の変化に柔軟に対応できる人間に着目した.本研究では,行動実験によって人間が行う変化検出について調査し,結果から「最近の分類精度が高い状況で確信度が高い分類が短期間に連続して否定されるほど,人間は変化を高速に検出できる」という知見を得た.我々はこの知見から,最近の分類精度と分類の確信度を利用した突然かつ重大な変化の検出手法を提案した.計算機実験によってノイズや緩やかな変化が存在する環境下においても,分類精度の急落のみを利用する従来の変化検出手法に比べて,提案手法が突然かつ重大な変化を正確かつ高速に検出できることを示した.これらの成果は現在投稿中の論文("人間に着想を得た突然かつ重大な変化の検出手法,"電子情報通信学会論文誌)にまとめ,今後学会等で発表予定である.
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