本年度の研究により次の結果を得た。 1 コンパクト複素平行可能多様体が擬ケーラー構造をもつための必要条件をいくつか得た。例えばある種のコンパクト複素平行可能多様体が擬ケーラー構造をもつならば可解多様体になること、またアルバネーゼ写像から誘導される自然なファイバー束について考察し、正則関数層に関するルレイ-スペクトル系列の退化の様子に関する結果等が得られた。 2 コンパクト複素平行可能可解多様体が擬ケーラー構造をもつための必要条件として、可解リー群の随伴作用素を離散部分群に制限したものの固有値に関する条件を得た。 3 擬ケーラー多様体の擬ケーラー構造から誘導される調和形式について考察し、ドルボーコホモロジー群に関するMathieu型の結果等を得た。特にドルボーコホモロジー群の任意の類が調和形式を代表元にもつための必要十分条件の一つを得た。 4 ある種のコンパクト擬ケーラー可解多様体において、その擬ケーラー構造から誘導される擬リーマン計量に関する断面曲率、リッチ曲率を具体的に計算した。その結果、誘導された擬リーマン計量に関して平坦なコンパクト擬ケーラー可解多様体の例が構成できた。
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