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2008 年度 実績報告書

強レーザー場誘起イオン化の理論的評価法の開発と超高速分子ダイナミクスの実時間追跡

研究課題

研究課題/領域番号 06J05252
研究機関東北大学

研究代表者

菅野 学  東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード電子ダイナミクス / 分子キラリティー / 芳香族分子 / 環電流 / レーザー制御 / 非断熱ダイナミクス / 国際情報交換 / ドイツ
研究概要

アキラル芳香族分子に円偏光レーザーパルスを照射してπ電子の芳香環に沿った回転を誘起できる。このときのπ電子の回転方向は円偏光レーザーの角運動量(偏光軸の回転方向)で一意に決定される。これに対し、採用第1,2年度目において、角運動量を持たない直線偏光レーザーパルスによってキラル芳香族分子のπ電子回転を実現できることを示した。このときのπ電子の回転方向は分子の空間的配置に対する直線偏光レーザーの偏光方向に依存して分子内座標系で決定される。π電子回転が分子の振動周期と同程度の数10fsほど持続すると、π電子回転と分子振動が互いに影響を及ぼし合う可能性がある。そこで、採用第3年度目において、直線偏光レーザーパルスと相互作用するキラル芳香族分子のモデル2,5-dichloropyrazine(DCP)を用いた非断熱核波束動力学シミュレーションを行った。DCPは厳密にはキラルでないが、π電子の感じるポテンシャルが環に沿った回転方向に依存するために直線偏光レーザーパルスによるπ電子回転制御が可能である。DCPは最適構造において点群C_<2h>に属し、光学許容擬縮退^1Bu励起状態を持つ。この^1Bu状態の線形結合がπ電子回転の近似的角運動量固有状態|+>と|->を与える。|+>または|->の一方を支配的に生成すればπ電子は芳香環を回転する。^1Bu状態を結合させる既約表現A_gの基準振動モードである環呼吸振動と環変形振動のモードを自由度とした2次元ポテンシャル曲面上の非断熱核波束動力学シミュレーションにより、分子振動の振幅がπ電子の回転方向に著しく依存することを明らかにした。また、この振幅の違いが断熱ポテンシャル曲面の間の非断熱遷移過程における核波束の干渉効果に起因することを示した。この結果から、フェムト秒スケールの分子振動を分光学的に観測することでアト秒スケールのπ電子の回転方向を特定できると期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 直線偏光レーザーパルス励起キラル芳香族分子の環電流制御と非断熱核波束ダイナミクス2009

    • 著者名/発表者名
      菅野学
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      日本大学船橋キャンパス
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] Nonadiabatic Nuclear Wavepacket Dynamics Coupled to Laser-Induced π-Electron Rotation in Chiral Aromatic Molecules2008

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Fujimura
    • 学会等名
      International Symposium on Ultrafast Intense Laser Science 7
    • 発表場所
      ホテル京都ガーデンパレス
    • 年月日
      2008-11-26
  • [学会発表] キラル芳香族分子における光誘起π電子回転と結合した核ダイナミクス2008

    • 著者名/発表者名
      菅野学
    • 学会等名
      第2回分子科学討論会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-09-25
  • [図書] Progress in Ultrafast Intense Laser Science IV2009

    • 著者名/発表者名
      Hirohiko Kono
    • 総ページ数
      26
    • 出版者
      Springer-Verlag Berlin Heidelberg

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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