研究概要 |
本研究の目的は、セラミックスヘテロ接合の高温光・電子物性を用いた、太陽電池やトランジスタなどの高温作動デバイス作製のための設計指針を得ることである。本年度は、基礎となる高温でのバルクの熱力学物性値に基づき、高温での空乏層厚さやオーミック接合設計のための検討を行った。 本年度の主な研究業績は、デバイス作製の基礎となる高温でのヘテロ接合界面の空乏層厚さおよびトンネル効果による高温でのオーミック接合の設計指針を理論・実験の両面から検討し、チタン酸ストロンチウム(SrTiO_3)を用いた高温光・電子デバイスの設計指針を得た事である。SrTiO_3はSiなどの汎用半導体に比べ誘電率が大きく、同じキャリア濃度であればより厚い電荷空乏層を形成することができる。市販の単結晶の不純物濃度とドナーの固容限から考えて、高温においてSrTiO_3は2百数十nm〜数nmの空乏層が設計可能である。また、高温ではAl,Tiなど室温で使用されるオーミック性電極が使用できないため、トンネル効果を利用した設計を行った。ドナー濃度がおよそ3mol%を境にショットキー接合およびオーミック接合を設計し、作製することができることが分かった。これらの理論的な考察は実験事実と良く一致した。以上の研究成果は、2008年10月に行われる"The Electrochemical Society Joint International Meeting"にて発表予定である。来年度は、ヘテロ界面の高温における障壁形成機構の解明を目指す。
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