近年、ミリ波帯において固定無線アクセス(FWA)などの無線通信サービスが展開される中、一層構造導波管スロッアレーは高利得、高効率を実現可能な平面アンテナとして注目が集まっている。導波管アレーの外部に管軸と平行に縦壁(金属壁)を設けた構造の解析、設計が行われている。しかし、以前はプラズマ励振用であったため隣り合うスロット2つを単位として共通なパラメータを持つモデルを用いた簡易な励振設計でも十分であった。本稿では、通信用として管軸方向の外部相互結合をスペクトル領域法解析により正確に評価した一様励振設計を行い、試作によりその動作を確認した。反射特性は、縦壁装着時、25.4GHzで-25.8dBと極小値をとり、24.3GHzから25.6GHzの1.3GHzに渡って、-15dB以下と良好な結果が得られた。脱着時には反射が最小値となる周波数が24.5GHzと0.8GHzずれた。いずれの場合もHFSSと実験値は広い周波数でよく一致している。指向性利得は中心周波数で縦壁装着時に32.7dBである。縦壁脱着時には一様励振が崩れるため30.1dBまで低下する。またピークとなる周波数も25.5GHzと0.2GHz高くずれる。本研究の成果はIEICEに現在論文を投稿し、査読中である。 さらに縦壁構造は高さと幅を適切に選択すれば、スロット相互結合を透過的に打ち消すことが可能であることが分かった。これについては詳細を現在、解明中である。 また、縦壁構造は、横スロット形状の場合にはグレーティングローブ抑圧に効果を発揮する。そこで、反射抑圧スロットペアに縦壁構造を装着したモデルで一様励振設計を行った。さらに試作、実験により解析の妥当性を確認し、論文として投稿予定である。
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