研究概要 |
Webユーザやコミュニティによるコミュニティ活動から,映像コンテンツに対するアノテーションを間接的に作成するというアプローチが提案手法の最大の新規性にあたる部分である.また,実際に実証実験や応用システムを開発することまで行うことによって,本提案手法の有用性を検証した.その結果,昨年度開発したシステムであるSynvieを用いたアノテーションデータの収集を公開実験により,延べ,126の映像コンテンツ,310人の登録ユーザ,1425個のテキストベースのアノテーションの収集に成功した.それにより,Webコミュニティからアノテーションを獲得することは有用であることを示した,Weblogを書く,映像を閲覧しながら掲示板型のコミュニケーションをするなどといったWebコミュニティ活動は,ユーザによって自発的に行われる活動であり,実質的なコストを0として捉えることができる.そういった意味で,映像コンテンツの自動解析技術と同等に,人的なコストが掛からず意味情報の抽出が可能になる点が新しい.しかしながら,Webコミュニティから取得されたアノテーションのみで十分な精度が得られるとはいえない.将来的には,信号処理技術的なアプローチと,人間が介在したアノテーション的なアプローチとを融合させた仕組みを実現させることが重要である.これらの仕組みが実現することによって,コンテンツ作成者にとっても,コンテンツ閲覧者にとらても,コンテンツ権利者にとっても有益なシステムになることを期待する.さらに,研究成果を論文としてまとめ,情報処理学会論文誌やIEEE Multimediaに掲載されるなど一定の研究成果があった.
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