本研究の目的はホリソンタル対称性をもつ超対称大統一理論(特にE6大統一模型)が近い将来の観測からどのように検証され得るかについて調べることである。これまでの精密測定の観点からこの問題にアプローチしてきたが、本年はLHC実験における検証可能性について研究を行った。 具体的にはまず、この模型の典型的なパラメータ領域の各点てどのようなシグナルがLHCで期待されるかを調べた。その後、モンテカルロシミュレーションを行って模型に特徴的なシグナルをどのようなカットによって選びだせるかを研究した。さらに超対称性粒子の質量の測定についても方法の開発やシミュレーションを行った。研究の結果、この模型がb-jet数分布とhighest pT jetの分布に特徴を持つことを見つけた。これらの分布を検証することにより、LHCの初期の段階で(1〜2年程度)、我々の模型を他のシナリオから区別できるようになった。しかしながら、我々の模型とは異なるが上の解析では区別できないシナリオが存在することがわかってきた。そこでこのシナリオとの区別を行うため、さらにレプトンを使った解析についても研究し、LHCの中盤(3〜5年)でこのシナリオとも区別できる手法を開発した。これらの内容について現在論文を準備中である。 申請時の研究目標と直接は関係しないが、超対称性を自発的に破る研究や、ダークマターの残存量についての研究も行い、論文を発表した。
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