研究課題
Pam16はin vitro膜透過実験により、ミトコンドリアマトリクスへ輸送され、PAM複合体を形成することがわかった。また、Pam16のC末端にDHFRを付加させた融合タンパク質Pam16-DHFRを用いて膜透過中間体を形成させることにより、Pam16はTIM23複合体経路でマトリクスへと輸送されることが示唆された。さらにTim22の発現を抑制しても、Pam16およびPam16-DHFRの取り込み効率に変化が見られないことから、TIM22複合体はPam16の輸送に関与しないことがわかった。また、mtHsp70の変異株であるssc1-3を用いた解析からPam16のマトリクスへの輸送においてmtHsp70の依存性は小さく、in vitro合成したPam16はミトコンドリア外で非常にunfoldした状態で存在することが示唆された。一方、Pam16-DHFRはマトリクスへと完全に輸送されるためにはmtHsp70によるトラッピングが不可欠であり、DHFR部分が安定な高次構造を形成していることがわかった。抗Tim50抗体をマイトプラストに添加してTim50の機能を阻害しても、Pam16およびPam16-DHFRの取り込み効率は、抗体を加えない場合と比較して変化がなかったので、外膜のTOM40複合体を通過したPam16は、Tim50による認識を受けないことがわかった。また、興味深いことに、Pam16のN末端に典型的なプレ配列を付加したpSu9(69)-Pam16はTim50抗体の添加によって取り込み効率が顕著に阻害されたことから、逆にTim50はプレ配列部分と特異的に相互作用することが明らかになった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
The Journal of Cell Biology Vol.174, No.5
ページ: 631-637