研究概要 |
【研究の目的】 本研究は、単純ヘルペスウイルスのプロテインキナーゼUs3が、AGCキナーゼファミリー(Akt、PKAなど)を模倣しうるという仮説の検証および、Us3新規標的因子の機能解析を目的とした。 【結果】 1)Akt標的因子であるBad,AFXが、Us3の標的因子となりうることが明らかとなった。 2)Us3のSer-147はUs3自身およびPKAによってリン酸化され、そのプロテインキナーゼ活性が制御されることが明らかとなった。 3)全てのヘルペスウイルスに保存され、ウイルス侵入に必須であるglycoprotein B(gB)は、Us3およびPKAにリン酸化され、その機能発現が制御されることが明らかとなった。 【意義】 Us3プロテインキナーゼはウイルス特異的な酵素であるため、新たな抗ウイルス剤の標的として理想的である。したがって、本研究で得られたUs3自身の活性制御の解明は、そのままUs3阻害剤開発の基礎的なデータとなりうることが期待される。 また、これらの解析を実施するために確立された1)簡便かつ敏速なリン酸化部位の同定法、2)あらゆる変異導入が可能な新型のDNAウイルス改変系は、今後のHSV研究に貢献することが期待される。
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