研究課題
RAR1-SGT1-HSP90複合体は、病原菌に対する植物の防御反応と動物の自然免疫反応の誘導に必須な役割を果たす。昨年度の研究より、SGT1がHSP90と結合することが病原体を認識する抵抗性蛋白質の安定化と防御反応の誘導に必須であり、RAR1がこのSGT1とHSP90の結合を増強さることが分かった。そこで本年度は、SGT1-HSP90複合体の立体構造解析と機能解析を中心に研究を進めた。SGT1、HSP90それぞれに対してNMR法による解析を行い、それぞれの結合部位を特定した。さらに、結合部位のアミノ酸残基に変異を導入して結合実験を行うことにより、結合に必須なアミノ酸残基を特定した。これらの情報を用いてMADDOCK法を用いた複合体構造予測を行うことによって、この複合体の立体構造モデルを完成させた。以上の解析と並行してX線結晶解析法による立体構造解析を行ったところ、得られたSGT1-HSP90複合体の立体構造はMADDOCK法によって得られた立体構造モデルとほぼ一致していた。さらに、SGT1とHSP90のどのアミノ酸残基どうしが結合するか調べたところ、SGT1の223番目のグルタミン酸残基(E223)をリジン残基(K)に変異させると、HSP90との結合能が著しく減少し、植物体においても病原菌に対する防御反応が誘導できなった。そして、このようなE223K変異の影響はHSP90の88番目のリジン残基(K88)をグルタミン酸残基(E)に変えたK88E変異によって相補されることが分かった。このことから、SGT1のE223はHSP90のK88と結合していること、またSGT1とHSP90は植物体でも今回得られた立体構造と同様な複合体を形成することが分かった。来年度はRAR1を含めた複合体の立体構造解析と、この複合体におけるRAR1の役割を解析する予定である。
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Plant Cell 19
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Plant Cell Physiol 48
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Journal of biological chemistry (in press)
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2007/071127/detail.html