研究概要 |
真核生物のスプライシング反応では選択的スプライシングの場合を除き、基本的に隣り合ったエキソン同士が順繰りにつなぎ合わされる(構成的スプライシング)。我々は、スプライシング反応においてエキソンをとばすことなく順次連結するメカニズムを明らかにするために、特別に設計されたレポータープラスミドを用いて分裂酵母でエキソンスキッピングを引き起こすura^+性変異株34株(内、温度感受性変異株8株)を分離した。 現在までに、温度感受性ura^+性変異株からods1-1,ods1-2,ods2-1,ods3-1(ordered splicing)を分離し、これらの原因遺伝子がそれぞれPrp2/U2AF^<59>、U2AF^<23>、Sf1をコードしている事を明らかにした(Haraguchi, et. al.,2007)。 平成19年度は、温度感受性を示さないura^+性変異株の中から、ods1〜3とは相補性グループの異なる変異株を新たに分離しods4と命名した。原因遺伝子クローニングの結果、ods4はスプライシング因子Cwfl6をコードしている事を明らかにした。Cwfl6はスプライシングの第一段階において、U5snRNPとU6snRNPを安定にmRNA上に位置づける役割が示されている。さらにods4のマルチコピーサプレッサーとしてSrp2,Tif214を同定した。Srp2はSRタンパク質の一つであり、哺乳動物ではU2AFとUlsnRNPを架橋してエキソン同士を近接させる役割があると言われている。また、Tif213は翻訳開始因子の一つであるが、スプラしイングへの関与はこれまでに報告されていない。現在これらの因子について、エキソン認識機構との関連を調べている。
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