研究概要 |
真核生物のスプライシング反応では選択的スプライシングの場合を除き、基本的に隣り合ったエキソン同士が順繰りにつなぎ合わされる(構成的スプライシング)。我々は、スプライシング反応においてエキソンをとばすことなく順次連結するメカニズムを明らかにするために、特別に設計されたレポータープラスミドを用いて分裂酵母でエキソンスキッピングを引き起こすura^+性変異株34株(内、温度感受性変異株8株)を分離した。 現在までに、温度感受性ura^+性変異株からods1、ods2,ods3,ods4(o__-rd__-ered s__-plicing)を分離し、これらの原因遺伝子がそれぞれPrp2/U2AF^<59>、U2AF^<23>、Sf1、Cwf16をコードしている事を明らかにした。さらにods4のマルチコピーサプレッサーとしてSRタンパク質であるSrp2と翻訳開始因子Tif213(eIF2γ)を同定した。 平成20年度は、Tif213の過剰発現がどのようにods4の変異を相補したのかを調べるため、まずTif213を過剰発現させたods4からRNAを回収し、RT-PCRによってスプライシングパターンを解析した。その結果、Tif213を過剰発現させるとエキソンスキッピングが抑制されている事が分かった。さらに、Tif213の過剰発現がスタートコドンに変異のあるods4のCwf16の翻訳を促進することによって、ods4変異株の機能を相補したのではないか、という可能性を検証するため、Cwf16-FLAGと変異Cwf16-FLAGタンパク質の発現量を、Tif213を過剰発現させた場合と過剰発現させていない場合で比較した。その結果、Tif213を過剰発現させても変異Cwf16-FLAGの発現量に変化は見られなかった。これらのことから、Tif213はCwf16と直接相互作用する事によってods4の機能を相補している事が分かった。
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