本年度は「日系アメリカ人作家の作品にみるエコロジーと農業問題」をテーマに、ルース・L・オゼキやディヴィッド・マスモトが作品中で言及する自然農業や遺伝子工学について研究を進めた。また、北米先住民文学と日本原爆文学の関連性を考察する研究を進める目的で、アメリカでリサーチを行った。具体的には以下を実施した。 (1)マスモトに関する文献と自然農業に関する資料をネブラスカ大学図書館にて入手。また、自然農業について学ぶため、ネブラスカのオーガニック農家を訪問。 (2)オゼキに関する文献、遺伝子工学に関する資料、環境正義関連資料をネブラスカ大学図書館にて入手。 (3)ネブラスカ大学図書館で入手した資料に基づいて論文を執筆し、学会誌『アメリカ研究』に投稿。 (4)オハイオ州ウィルミントン大学のPeace Resource Centerで核/原爆文学関連資料を調査。 (5)ニューメキシコ州ホワイトサンドにある核実験場(トリニティサイト)を訪問し現地調査。 (6)ウィルミントン大学での資料調査に基づいてASLE-J全国大会にて論文発表。 (7)ネブラスカ大学で入手した資料を基に、Western Literature Association (WLA)学会にて発表。 (8)ASLE-J全国大会での発表に基づいて、論文を執筆し、学会誌『環境と文学』に投稿。 (9)『アメリカ研究』に投稿した論文の一部を大幅に修正・加筆し、論文集に投稿。 今年度の日系アメリカ人作家の研究に基づいて来年度は、チカノ/チカナ文学における環境アクティヴィズムの研究を進めたい。また、核実験場での現地調査とウィルミントン大学で行った文献調査を基に、環境正義の視点からみる核/原爆文学研究をさらに進めたい。
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