研究概要 |
本研究の目的は、日本のX線観測衛星「すざく」と、米国から2007年秋に打ち上げられるガンマ線観測衛星GLASTを用いて、超新星残骸(SNR)を共同観測し、世界で初めてSNRからπ^0起因のガンマ線を有意に検出することである。本年度、「すざく」とGLASTの両衛星について、以下のとおりの研究を実施した。 「すざく」衛星について、 1.我々が開発した硬X線検出器(HXD)の2つの検出器(シリコンPIN半導体とGSOシンチレータ)のバックグラウドモデルが、実際の観測をどのくらい精度よく再現できているのかを、衛星の軌道位置や宇宙線の環境、観測の時期などに応じて、定量的に評価した。現在この結果をSNR(SN1006)の観測データに援用し、SN1006からの微弱なシンクロトロン放射をこれまでにない精度で測定しようとしているところである。 2.標準光源である「かに」星雲の観測データから、「すざく」に搭載されているもう1つの検出器(X線CCD : XIS)とHXDの有効面積の比を10%の精度で求めた.さらにSNRよりも明るくバックグラウンドの影響が無視できる、ブラックホール連星系のデータも解析し、「かに」星雲と同じ値になっていることを検証した。 GLAST衛星について、 1.CRRNで行われビーム試験に参加し、GLASTのスペア検出器に陽子と電子・陽電子を入射した際のバックグラウンドを実測した。この結果、GLASTのバックグラウンドはほぼこれまでの予想どおりであることを実証できた。 2.GLAST打ち上げ後には日々の運用に携わり衛星の健康診断を行うため,どのようなデータをどのような観点からチェックすると良いのか国内外の研究者と議論を重ねている。
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