研究概要 |
本年度は,ナノドット形成メカニズム解明およびシリサイドナノドットとSi量子ドット積層構造フローティングゲートに着目し、下記3点に力点をおいて研究を推進した。 1.リモートプラズマ支援による金属ナノドット形成メカニズム Si-OH終端した膜厚3.5nmのSiO_2膜上に、Arスパッタにより極薄Pt膜を形成し、外部加熱無で、Ar、H_2、ガスおよびそれらの混合ガスのリモートプラズマ(RP)処理を5分間施した。また、Pt箔で覆った熱電対をSi基板上に固定し、同条件でRP処理した際の表面温度を計測した。純Ar RP処理では、表面温度は約50℃であるのに対して、H_2を混合するとH_2濃度の増加に伴い、表面温度が顕著に増加し、純H_2 RP処理で、約500℃に達する。RP支援によるPtナノドットの形成は、Pt表面における原子状水素の再結合に起因した局所加熱によるPt原子の凝集であることが分かった。 2.高密度Si量子ドット/SiO2の核密度制御 p-Si(100)基板上に1000℃、2%O_2で膜厚〜3.6nmのSiO_2を形成後、0.1%HF処理によりSiO_2表面をOH終端し、その後、室温でHe希釈10%GeH_4に暴露した。圧力、暴露時間はそれぞれ0.2〜100Torr、1.0〜10minで変化させた。その後、同一チャンバー内でSi_2H_6-LPCVD(400℃)によりSi量子ドットを自己組織化形成した結果、GeH_4照射することにより、ドット密度が未照射のSiO_2上に比べ約40倍に増加した。Si_2H_6-LPCVD直前にOH終端した熱SiO_2表面に室温、100Torrで10min GeH_4を吸着させることで、面密度1.2×10^<13>cm^<-2>で均一サイズ(半値幅**nm)のSi量子ドットを形成できた。 3.NiSiドット/Si量子ドットハイブリドフローティングゲートMOSキャパシタにおける電荷注入特性 多段階電子注入および安定電荷保持の両立が期待できるNiSiドット/Si量子ドット積層ハイブリッドフローティングゲートMOSキャパシタにおいて、多数電子および正孔注入が反映して、最大印加ゲート電圧の増加に対して線形に増大することが分かった。また、パルスゲート電圧印加においては、電子注入レートが段階的に変化することからNiSiナノドットへの電子注入がSi量子ドットの離散化したエネルギー状態を反映することが明らかとなった。
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