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2008 年度 実績報告書

植物の青色光センサータンパク質における光シグナル伝達機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 06J08383
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

岩田 達也  名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードフォトトロピン / 赤外分光法 / LOVドメイン / FMN / 生物物理学
研究概要

フォトトロピンは植物の青色光受容体である。発色団としてFMNを結合した光受容ドメインを2つ(LOV1、LOV2ドメイン)とセリン・スレオニンキナーゼドメインからなる。フォトトロピンは青色光依存的にキナーゼ活性を発現するが、キナーゼドメインの制御にはLOV2の光反応が重要であり、LOV1は直接関与していないことが報告されている。近年、LOV2ドメインのすぐC末端側にαヘリックス(Jαヘリックス)が存在し、このJαヘリックスの構造変化(光照射時にαヘリックス構造が緩む)ことがキナーゼ活性の発現に重要であることが報告された。
本研究において、LOVドメインとJαヘリックスの構造変化に着目し、Jαヘリックスを含むLOV2ドメイン(LOV2-Jα)とJαヘリックスを含まないLOV2ドメイン(LOV2 core)の構造変化を比較した。植物体でのリン酸化反応が報告されているシロイヌナズナのフォトトロピン1のLOV2ドメインを試料に、活性化状態と暗状態の低温フーリエ変換赤外(FTIR)分光法による測定を行った。その結果、Jαヘリックスは260K以上の温度で構造変化を起こすことが分かった。また、そのペプチド骨格のC=O伸縮振動は暗状態で1650cm^<-1>活性化状態では1625cm^<-1>に現れ、それぞれ文献的にはαヘリックス(1650cm^<-1>)、βシートかランダムコイル構造(1625cm^<-1>)に相当するものであった。この様に、Jαヘリックスは光照射後に、温度依存的にその構造を変化させることが示された。さらに、LOV core側の変異体(Q575L、F556L)ではこのαヘリックスに由来する構造変化を示さなくなり、Gln575、Phe556がJαヘリックスヘシグナルを伝達するアミノ酸残基であることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Light Signal Transduction Pathway from the Flavin Chromophore to the Jα Helix of Arabidopsis Phototropinl2009

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Yamamoto, Tatsuya Iwata, Yoshiaki Sato, Daisuke Matsuoka, Satoru Tokutomi, Hideki Kandori
    • 雑誌名

      Biophysical Journal 96

      ページ: 2771-2778

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of FTIR Bands due to Internal Water Molecules around the Quinone Binding Sites in the Reaction Center from Rhodobacter sphaerroides2009

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Iwata, Mark L. Paddock, Melvin Y. Okamura, Hideki Kandori
    • 雑誌名

      Biochemistry 48

      ページ: 1220-1229

    • 査読あり
  • [学会発表] Water Molecules Involved in the Proton Uptake in a Bacterial Photosynthetic Reaction Center from Rhodobacter spbaeroides2009

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Iwata, Mark L. Paddock, Melvin Y. Okamura, Hideki Kandori
    • 学会等名
      6th Asian Biophysics Association Symposium
    • 発表場所
      香港、中国
    • 年月日
      20090111-20090115
  • [学会発表] 紅色細菌の光化学反応中心のプロトン取り込みに関わる水分子の検出2008

    • 著者名/発表者名
      岩田達也, Mark L. Paddock, Melvin Y. Okamura, 神取秀樹
    • 学会等名
      日本生物物理学会第46回年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      20081203-20081205
  • [学会発表] 紅色光合成細菌の反応中心におけるキノン周囲の内部結合水2008

    • 著者名/発表者名
      岩田達也, 神取秀樹
    • 学会等名
      特定領域研究「高次系分子科学」第3回合同班会議
    • 発表場所
      越後湯沢
    • 年月日
      20080527-20080529
  • [備考] 名古屋工業大学大学院工学研究科 神取研究室 ウェブサイトホームページ

    • URL

      http://www.ach.nitech.ac.jp/~physchem/kandori/index_j.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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