本研究は、カイラル対称性の観点から、中間子や中間子と原子核が構成する系の構造・性質を明らかにすることを目指し、QCDで非常に重要な役割を果たすと思われるカイラル対称性とその破れの機構について明らかにすることを目的としている。本年度は、カイラル模型を用いたN*(1535)共鳴状態の原子核中での性質を探る研究に関し、昨年度に研究・提案したJ-PARCにおける検証実験について、具体的に実験研究者との議論・共同研究を行った。現在も引き続き共同研究を行っており、来年度に向けて実験の提案を準備中である。 また、本年度は本研究課題に密接に関係するカイラルユニタリー模型に基づいて、軸性ベクトル中間子およびスカラー中間子の光崩壊についての研究を行い、この崩壊幅の検証により、中間子の性質について明らかにする事が出来ることを示した。本研究については、本模型に関して、最新の研究を行っているスペインバレンシア大学に、渡航・滞在し、共同研究を行った。
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