1.螺旋周期構造を有する有機/無機ハイブリッドナノ周期構造の光学的性質を4x4マトリクス法により理論解析を行った結果、非常にQ値の大きい局在準位が存在することを発見した。また、この局在準位を利用することにより低閾値レーザー発振が可能であることを確認した。 2.実際に、色素を添加したコレステリック液晶を用いた有機/無機ハイブリッドナノ周期構造を作製し、素子を光励起したところ、低閾値でレーザー発振させることに成功した。また、そのレーザー発振はQ値の大きい局在準位に基づくものであることを確認した。 3.コレステリック液晶からのレーザー発振は一般的に円偏光である。しかし、有機/無機ハイブリッドナノ周期構造を用いることによりレーザー光は直線偏光となることを確認した。また、FDTD法を用いた理論解析を行うことにより、直線偏光のレーザー光は多重周期構造に起因するものであることが分かった。 4.強誘電性液晶を用いたハイブリッドナノ周期構造については、レーザー発振閾値を強誘電性液晶単体の場合と比較して1/1000以下にすることに成功した。また、電界印加によりレーザー発振波長を制御することに成功した。 5.コレステリック液晶はストップバンド端において光の群速度異常が誘起される。この現象をレーザーの出力光のみならず、励起に用いられる入射光にも作用させることにより、低閾値・高効率のレーザー発振に成功した。 6.共振器中に導入されたコレステリック液晶を、ストップバンド端における光の群速度異常を利用して光励起した。これにより、コレステリック液晶単体の場合と比較して、レーザー発振の劇的な低閾値化に成功した。
|