研究概要 |
本年度は、研究目的である、熱画像とプロジェクタを用いた投影型複合現実感システムの中でも、特にプロジェクタを用いた新たな情報投影技術に関する研究を行うために、同研究分野において世界トップクラスであり、プロジェクタをはじめとする機材が充分に整っている、ドイツ連邦・ワイマールのバウハウス大学に滞在し、研究活動を行った。 特に、プロジェクタの技術的制約であった、投影画像のコントラスト比を向上させる手法の提案・開発を中心に行った。具体的には、投影される画像データと同様のものを通常の紙や写真紙等に申刷する。そして、位置合わせを行った投影画像を、プロジェクタより印刷物に対して投影する。これにより、二重に輝度変調をかけることができるため、例えばプロジェクタのコントラスト比が1,000:1、印刷物のコントラスト比が100:1の場合、理論的には100,000:1のコントラスト比を持つディスプレイを構築することができる。研究では、あらかじめ与えられた画像データを投影用画像と印刷用画像とに分離する手法と、位置合わせ手法とを開発した。特に画像データ分離手法では、広コントラスト比が求められる医療分野での応用を想定し、人間の視覚特性を考慮した手法の提案・開発を行った。結果、コントラスト比45,000:1、最大輝度値2,750[cd/m2]を実現することが出来た。 本年度は、雑誌論文2件の採録が決定され、また、渡航先の研究グループと共に同研究分野を解説する1件のチュートリアル発表を国際会議にて行った。
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