研究課題
本研究ではピストンH3リン酸化の可視化により、染色体構造構築メカニズムの解明を目指しているが、平成18年度はピストンH3をリン酸化するAuroraキナーゼの植物における機能の解析と、ヒトにおいてピストンH3 Thr3をリン酸化するHaspinのシロイヌナズナホモログの同定および解析を行った。Auroraキナーゼの解析には、Auroraキナーゼ特異的阻害剤ヘスペラジンを用いて解析を行った。タバコ培養細胞BY-2において、ヘスペラジンによりAuroraキナーゼの機能を阻害すると、ヒストンH3 Ser10と28のリン酸化が阻害された。細胞分裂期においては、ヘスペラジン処理により分裂中期細胞の割合が増加し、後期および終期細胞の割合が減少しており、さらに微小核の増加やラギング染色体が観察された。以上の結果より、植物Auroraキナーゼが染色体分離に関与していることを明らかにした。この成果を"Aurora kinase is required for chromosome segregation in tobacco BY-2 cells"という題名で、国際学術雑誌The Plant Journal誌に発表した。また、シロイヌナズナAuroraキナーゼであるAtAUR2にスプライシングバリアントがあり、そのバリアントにより細胞分裂を制御しているのではないか、ということを明らかにして、その成果を"Characterization of a splicing variant of plant Aurora kinase."という題名で国際学術雑誌Plant Cell and Physiology誌に発表した。これら植物におけるAuroraキナーゼとヒストンH3リン酸化といったピストン翻訳後修飾についての総説を、雑誌化学と生物に発表した。Haspinの解析に?いては、現在in vitroにおいてピストンH3のリン酸化能を持っていることが確認できていることより、植物においてもピストンH3キナーゼである可能性は高いことが分かった。また、蛍光タンパク質GFPを融合させて、蛍光顕微鏡下でタイムラプス観察を行ったところ、細胞分裂期において核内に局在したことより、in vivoにおいてもピストンH3をリン酸化していることが示唆された。
すべて 2007 2006
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Plant and Cell Physiology 48
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