研究課題
本研究ではヒストンH3リン酸化の可視化により、染色体構造構築メカニズムの解明を目指しているが、平成19年度は植物におけるヒストンH3と動原体特異的ヒストンH3であるCenH3による動原体の可視化および動態解析と、ヒトにおいてヒストンH3 Thr3をリン酸化するHaspinのシロイヌナズナホモログの細胞分裂期における機能解析を行った。タバコ培養細胞BY-2において、シロイヌナズナヒストンH3動原体特異的バリアントであるCenH3に蛍光タンパク質tdTomatoを融合することにより、動原体の可視化に成功した。また微小管および動原体を別々の蛍光タンパク質に融合し、同時に可視化することにより、植物においてAuroraキナーゼを阻害すると、動原体整列および分離に異常が起こり、ラギング染色体および微小核形成が引き起こされていることを明らかにした。微小核形成はヒトにおいてはガン化にも繋がる異常であり、植物においてAuroraキナーゼまたヒストンH3リン酸化がその異常を抑制している可能性が示唆された。この成果を国際会議16th International Chromosome Conferenceを含め、8件学会発表を行った。また、CenH3のN末端CFP,Vbnus(YFP),tdTomato(RFP)各蛍光タンパク質融合発現ベクターを構築し、BY-2安定形質転換株の取得に成功した。加えてAtAUR3のC末端にVenus,AtHaspinのC末端にtdTomatoを融合したベクターを構築し、形質転換株を取得した。AtHaspinの解析については、微小管との二色同時可視化によりほぼ共局在することが明らかとなり、細胞質分離に機能を持っていることが示唆された。以上のように、タバコ培養細胞BY-2において、二色の蛍光タンパク質を用いることによって、ヒストンH3バリアントを含めたいくつかのタンパク質について、FRET解析に必要な二色同時可視化に成功した。
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Developmental Biology (in press)
Micron (in press)
Current Biology 17
ページ: 1356-1361
http://www.osaka-u.ac.jp/eng/research/annualreport/vol8/list/08.html