平成18年度は、窒化リチウム隔膜に直流電圧を印加し、電気分解することで窒素透過性隔膜とした窒素透過型膜反応器を作成し、窒素分子の解離を促進することで窒素からアンモニアへの高い転化率(30%)を得ることに成功した。さらに、空気からの選択的窒素透過膜としての応用についても取り組んだが、酸素分子との反応を完全に制御することは難しく、持続的に選択的窒素透過性を得ることはできなかった。 また、平成19年度以降実行予定の酸化物イオン導電体膜を用いた脱硝反応についても取り組み、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)膜に白金を担持したPt|YSZ|Pt膜に直流・交流電圧を印加してNO除去反応を行い、その電圧特性、ならびに周波数依存性を評価することで、反応の律速過程について検討した。その結果、反応後のガス中にはN_2OやNO_2などの窒素酸化物成分は含まれず、NOは選択的にN_2に還元除去されていることがわかった。NOの除去率は2V以上の電圧印加で急激に向上し、その後は電圧に対する依存性は見られなかった。また、同じ実効電圧を印加した場合、直流電圧の場合よりも交流電圧のほうがNOの除去率は高い結果となった。これより、本反応系ではNO分子から引き抜かれたO^<2->イオンの膜内伝導が律速段階ではなく、NO分子の隔膜表面への吸着、あるいはNO分子からO原子をO^<2->イオンの形で引き抜く過程が律速段階であることが示唆される。
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