昨年度研究より、ゼブラフィッシュGM4合成酵素の塩基配列、及びアミノ酸配列を同定した。この情報をもとに、哺乳動物においてGM4合成酵素をデータベースよりスクリーニングすることとした。GM4合成酵素は哺乳動物においてもクローニングされていない。マウスをモデル動物としてスクリーニングした結果、アミノ酸レベルにおいて、GM3合成酵素がゼブラフィッシュGM4合成酵素と最も同一性が高いことが分かった。 放射性同位元素でラベルしたガラクトシルセラミド(GalCer)をアクセプター基質、CMP-NeuAcをドナー基質としてマウスGM3合成酵素のシアリルトランスフェラーゼ活性を測定した結果、マウスGM3合成酵素がGM3だけでなく、GM4も合成することが判明した。 現在までに、GM3合成酵素ノックアウトマウスが作製され、神経におけるGM3の機能解析、インスリン受容体と糖尿病におけるGM3の機能解析、聴覚(内耳)機能におけるGM3の機能解析が行われている。実際に、同ノックアウトマウスの脳においてGM4は消失しており、また、同脳においてGM4合成活性も消失していた。このことはマウスにおいて、マウスGM3合成酵素が唯一のGM4合成酵素であることを示している。 以上のことは、ノックアウトマウスを用いたGM3の機能解析において、GM4においても注目しておく必要があることを示している。
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