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2006 年度 実績報告書

太宰治の翻案小説と西欧文芸・思潮との交錯-戦時期の方法・ジャンル・小説表現

研究課題

研究課題/領域番号 06J09907
研究機関東京大学

研究代表者

松本 和也  東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(PD)

キーワード太宰治 / 「女の決闘」 / 「走れメロス」 / 『新ハムレット』 / 翻訳 / 昭和10年代 / 「ひかりごけ」 / 森鴎外
研究概要

1、昭和10年代の新聞・雑誌の調査・分析に関しては、同時代の総合雑誌、文芸雑誌を中心としてコーパスを定めて通覧し、太宰治の翻案小説やその形成・受容に関わると思しき記事は収集し、国内外の動向や他領域のトピックとあわせて分析・意味づけを行った。
2、昭和10年代の文学ジャンル編成や翻訳(理論)に関する研究としては、昭和10年前後の「リアリズム」という標語をめぐる言表のすれ違いとその議論を分析し、昭和10年代の文学シーンが昭和十年前後に方向づけられたことを明らかにし、論文にまとめた。さらに1939(昭和14)年のトピックであった「素材派・芸術派論争」を分析し、文学シーンの基底を考察した。さらに、戦後発表の武田泰淳「ひかりごけ」をモデルとして、翻訳という機制の理論的な検討を、小説本文の読解に即しながら試み、論文にまとめた。
3、太宰治の翻案小説に関しては、3作品それぞれに進展をみた。(1)「女の決闘」は基礎的検討から作品解釈まで研究を進めた。また、典拠「女の決闘」の訳者森鴎外について、昭和10年代の位相を検証して論文化した。(2)「走れメロス」に関しては、典拠とされたシラーならびにドイツ文学の昭和15年前後の受容を中心に調査を進め、あわせて、映画『オリンピア』とその波紋についでも文献の調査・収集を行った。(3)『新ハムレツト』に関しては、先行研究を手掛かりに、明治期からの翻訳・翻案・上演の歴史をまとめた。
4、太宰治全般に関しても、中心的な研究課題を挟み込むかたちで、「狂言の神」・「冬の花火」・『斜陽』の分析を進め、論文化した。それぞれ、昭和10年代の太宰治の翻案小説の研究に、同時代の文脈や小説の方法論を介して密接に関わってくる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] 昭和十年前後の"リアリズム"をめぐって-饒舌体・行動主義・報告文学-2007

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      昭和文学研究 第54集

      ページ: 13-25

  • [雑誌論文] 明滅する(自由)-太宰治『斜陽』を解読する2006

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      太宰治スタディーズ 第1号

      ページ: 177-193

  • [雑誌論文] <青年>の病=筆法-太宰治「狂言の神」試論-2006

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      文芸研究 第162集

      ページ: 33-45

  • [雑誌論文] 翻訳・境界・メタフィクション-武田泰淳「ひかりごけ」を読む2006

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      日本文学 55巻11号

      ページ: 24-34

  • [雑誌論文] (森鴎外)の昭和十年代2006

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      芸術至上主義文芸 第32号

      ページ: 128-137

  • [雑誌論文] 言葉の力学/起源の撹乱-太宰治「二十世紀旗手」論-2006

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      立教大学日本文学 第97号

      ページ: 137-144

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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