本研究の主な目的は、初期地球試料のタングステン同位体組成を調べることにより、地球の集積過程(後期隕石重爆撃)や、その後のコア-マントル相互作用についての知見を得ることである。これらの目的にタングステン同位体組成を用いるためには、そのタングステン同位体組成が初期地殻-マントル文化による同位体変動を受けていたかどうかを知る必要がある。具体的には地球の初期地殻-マントル文化が起こった時期を調べることにより、それがタングステン同位体組成にどの程度影響をあたえうるかを評価できる。初期地殻-マントル分化の時期に制約をあたえる上で、サマリウム-ネオジム同位体系列は有力なトレーサーとなり得る。この同位体系列を、太古代のモナザイト鉱物に適用するために、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計を用いた局所サマリウム-ネオジム同位体分析法の開発を、オーストラリア国立大学にて行った。その結果、約20μmの領域から高精度(±0.003%)のネオジム同位体比が得られるようになった。
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