本年度(H19年度)は、本研究のテーマである、「六朝文学における『山海経』の受容を巡って-図像と文献の接点」の総合的理解を目指し、以下の様な研究活動を行った。 ●文献研究としては、まず、『山海経』の神話世界と多くの共通点を指摘される『楚辞』について検討を行った。 (1)、六朝に先立つ漢代の宗教的祭祀を反映した文学作品・楊雄「甘泉賦」をとりあげ、一賦の末尾の「乱」の部分に見える"旭卉"という特徴的な語の背景に存在する、広大な空間観念について検討した。(「「甘泉賦」新釈新考・「旭卉」の解釈について-「上天之縡、杳旭卉兮」-」『東京大学中国語中国文学研究室紀要』十号、2007/11) (2)、また、『楚辞』文化日本学会に入会し、10月の例会に参加した(於、名古屋大学、2007/10/6)。さらに、六朝初期の詩人・郭璞に於ける『山海経』の受容形態の更なる理解をめざし、従来、重要視されつつも纏まった研究のなかった郭璞の水神信仰について、研究発表を行った。(「郭璞の文学にみる水中世界-河伯を例に」、於・東京大学「詩文研究法」11月例会)。その成果は、既刊の拙稿・「崑崙と水-郭璞『山海経図讃』「崑崙丘」に見る水の宇宙」の研究成果に付け足す形で、来年度提出の博士学位論文に纏めあげる予定である。 ●『山海経』の図像研究としては、2008年3月12日より、3月20日まで、中国山東省の南部〜江蘇省北部より出土した、『山海経』の神仙・瑞獣・異獣を中心とする漢画像石(漢墓を含む)のフィールド調査を行った。調査に当たっては、山東石刻芸術博物館の楊愛国副館長、徐州漢像画石芸術館の武利華館長の助力を得て、徐州漢画像石芸術館(新館は2007年11月開館、新出の画像石も多く所蔵される)、徐州市博物館、白集漢墓、茅村漢墓、獅子山楚王陵漢墓に所蔵される画像石の調査を行った。特に、専門図録が公刊されていない白集漢墓では、『山海経』の神仙・異獣画に関連する貴重な図像を調査する事ができ、また、今回特別にそれらの図像の部分的撮影を許可された。その成果は、今後に予定している、『山海経』の図像研究に反映させてゆく予定である。 さらに、北京では、中国社会科学院文学研究所・葉舒憲教授(中国神話学)に面会し、今後の、"『山海経』を中心とする神話図像"に関する日中共同研究について協議を行った。 ●『山海経』の図像研究としては、2008年3月12日より、3月20日まで、中国山東省の南部〜江蘇省北部より出土した、『山海経』の神仙・瑞獣・異獣を中心とする漢画像石(漢墓を含む)のフィールド調査を行った。調査に当たっては、山東石刻芸術博物館の楊愛国副館長、徐州漢像画石芸術館の武利華館長の助力を得て、徐州漢画像石芸術館(新館は2007年11月開館、新出の画像石も多く所蔵される)、徐州市博物館、白集漢墓、茅村漢墓、獅子山楚王陵漢墓に所蔵される画像石の調査を行った。特に、専門図録が公刊されていない白集漢墓では、『山海経』の神仙・異獣画に関連する貴重な図像を調査する事ができ、また、今回特別にそれらの図像の部分的撮影を許可された。その成果は、今後に予定している、『山海経』の図像研究に反映させてゆく予定である。 さらに、北京では、中国社会科学院文学研究所・葉舒憲教授(中国神話学)に面会し、今後の、"『山海経』を中心とする神話図像"に関する日中共同研究について協議を行った。
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