ヒトナルコレプシーの疾患感受性/抵抗性遺伝子の探索のため、患者サンプル222例、健常者サンプル390例を用いて、ゲノムワイド関連解析を行った。SNP (Single nucleotide polymorphism)タイピングのための使用機器として、アフィメトリクス社の500K GeneChipを用いた。統計解析の方法として、各SNPの患者及び健常者のアリル頻度をx2検定で比較した。その結果、疾患感受性/抵抗性遺伝子を含むと期待される約30の候補領域を見出した。現在、それら候補領域に対し、ゲノムワイド関連解析で用いたサンプルセットとは異なる新たなサンプルセット(患者サンプル160例、健常者サンプル190例)を用いて、同様の結果が認められるか確認実験(Replication Study)を行っている。この確認実験を平成19年9月までに終了する予定である。 また、このアフィメトリクス社の500K GeneChipは約50万にも及ぶSNPをタイピングできる反面、全てのSNPが正確にタイピングされる訳ではないことが知られている。このような正確にタイピングされなかったSNPの結果は、その後の解析に悪影響を与えることになる。そのため、このGeneChipを用いた研究を行う際は、正確さに欠けるSNPの結果を排除することが非常に重要となるが、現在のところその明確な方法は見出されていない。そこで、健常者サンプル390例の結果を用いて、アフィメトリクス500K GeneChipの評価を行い、正確さに欠けるSNPの排除方法について検討した。データ解析は既に終了しており、適切な排除方法を見出すことに成功した。現在、そのデータ解析の結果を基に投稿論文作成の準備を行っている。本研究を平成19年5月までに終了する予定である。
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