研究概要 |
本研究では,家庭やオフィスにおいて卓上作業を行う作業者に対して,個々の作業者の適応過程を考慮した上で,作業者に対して能動的に手を差し伸べる卓上作業支援システムの実現を目的としている.従来の多くの作業支援システムにおいては,作業者がシステムに対して何らかの明示的な指示を行うことが必要であった.しかしながら,支援を必要とするたびに作業者が明示的な指示を行うことは,本来の作業目的とは異なる無駄な行為である.したがって,このような指示を必要とするシステムでは,作業者に対して手を差し伸べているとは言い難い.そこで本研究では,明示的な指示無しで迅速に作業支援を行うシステムの実現を目指している. 平成18年度は,複数のセンサ情報から作業者の自然な行為に内在する意図を検出・予測する手法を構築した.また,卓上作業支援システムの構成要素の一つである,自走式トレイを用いた迅速な物体搬送手法を提案した. 1.行為に内在する意図の検出・予測:カラーCCDカメラを用いて作業者の手動作を,非接触の眼球運動計測装置を用いてユーザの注視点をそれぞれ測定する.これらの情報に基づいた確率モデルを用いることによって,作業者による到達把持運動を早期に検出するとともに,卓上に複数存在する物体の中から,把持対象物を迅速に予測することができた. 2.自走式トレイによる迅速な物体搬送:作業者の手動作の計測に基づいて,躍度最小モデルを用いて到達把持運動の到達点および到達タイミングを予測し,単体の自走式トレイによって把持対象物を搬送する手法を提案した.実験の結果,自走式トレイとのインタラクションを繰り返すことによって,人間の到達運動が,トレイ運動を予測したものになることが示唆された.
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