研究課題
本研究では、走査型電子顕微鏡を用いたカーボンナノチューブ(CNT)の成長過程のその場観察、および、レーザを用いたCNTの位置を制御したヒンポイント合成を行い、成果をあげることができた。CNTのその場では、走査型電子顕微鏡内で局所的にCVD合成を行い、その成長過程を従来の走査型電子顕微鏡で直接観察することを可能にするための局所Cの装置を開発した。本装置の加熱可能な温度の範囲と実現可能な圧力の範囲を計測し、定量化することで装置の設計を一般化した知識にした。開発した局所CVD装置を用いて単層CNTの成長過程を断続的に観察した結果、散発的に成長を行い、一度成長したCNTは合成を続けても成長を続けないことが明らかになった、この結果から単層CNTの成長過程として、花火のように散発的に一瞬で成長を行うメカニズムが考えられる。レーザを用いた位置制御成長では、任意の位置に直径約1μmの円状で単層CNTをピンポイントで合成することに成功した。本研究では、効率的にCNTを合成するためにEnergy Confining Layerと呼ぶ多層基板を開発した。この基板を用いることで、基板上に照射されたレーザは効率的に熱エネルギに変換され、基板表層にあるCNTの触媒に伝えられる。この基板を用いることで初めてシリコンの平面基板上に局所的にピンポイント合成することができた。また、本手法を用いることで従来の合成方法では出来なかった1秒という短時間でのCVD合成に成功した。この短時間での合成を応用することで、レーザを描画することで任意の形でCNTを基板上にパターニングすることが可能となった。本手法を用いることで、CNTを用いたさまざまなナノデバイスの開発を容易に行うことが可能である。本結果はJapanese Journal Applied Physics誌に掲載された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
Japanese Journal of Applied Physics 46,14
ページ: L333-L335