栄養欠乏条件下でスクリーニングを行った。以前から所持していたアクチベーションタグラインに加え、理化学研究所のシロイヌナズナFoxラインを分取させて頂き、スクリーニングに加えた。窒素欠乏条件、リン酸欠乏条件、カリウム欠乏条件、硫黄欠乏条件、ホウ素過剰条件で合わせて40万個体ほどをスクリーニングし、生育が向上したラインを100ラインほど得た(一次スクリーニング)。得られた植物の自殖次世代の種子を野生型株の種子と共に一次スクリーニングで用いたものと同じ組成の培地に播き、植物体の生育を観察した(二次スクリーニング)。二次スクリーニングの結果、野生型株よりも有意に生育が向上したライン、あるいはポピュレーションの一部の生育が向上したライン約15ラインをこれまでに単離している。生育が向上していたラインについては、通常の栄養塩組成の培地でも生育を観察し、野生型株との生育の違いを観察した。二次スクリーニングで得られたラインの半分以上は、通常の栽培条件でも野生型株よりも地上部新鮮重が重くなっており、生育の早い変異株であることが分かった。一方、カリウム欠乏条件下でのみ野生型株よりも生育が向上しているラインも単離され、このラインでは、カリウム代謝が向上しているものと考えられる。また、ホウ素欠乏条件で生育の良いラインの中に、同じホウ素欠乏培地で生育している野生型株の生育をも向上させるラインがあり、このラインはホウ素欠乏条件下でのシロイヌナズナの生育を向上させる物質を分泌していると考えられる。二次スクリーニングで得られた有望なラインについて、掛け合わせを進めた。
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