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2008 年度 実績報告書

自己組織化孤立空間内での平面状金属錯体の高次集積と機能発現

研究課題

研究課題/領域番号 06J11281
研究機関東京大学

研究代表者

小野 公輔  東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員DC1

キーワード自己組織化孤立空間 / ポルフィン / アザポルフィン / スピンクロスオーバー / ニッケル / コバルト
研究概要

ニッケルおよびコバルト錯体のスピンクロスオーバー
本年度は、かご状錯体内部が芳香環(II)に囲まれた特異な空間であることに着目し、"金属錯体(d)-芳香環(II)集積による特異物性の誘起"へと研究を展開した。
平面四配位のN,N'-エチレンビス(アセチルアセトイミナト)ニッケル(II)錯体6は赤色反磁性である。一方、かご状錯体1c内部に1分子包接された包接錯体1c⊃6は濃緑色を示した。そこで、磁化率を測定したところ、_XMTの値が0.16を示し、包接錯体1c⊃6は常磁性であることが明らかになった。また、2分子包接体1a⊃(6)2も同様な変化を示し"濃緑色常磁性"であった。さらに、包接錯体1a⊃(6)2のX線結晶構造解析により内部のニッケル錯体6は平面四配位のジオメトリーを保ったままであることが明らかになった。すなわち、配位環境に因らず、"包接"という外部刺激によるスピンクロスオーバーを達成した。続いてニッケルより電子が一つ少なくなったコバルトに着目した。アザポルフィンコバルト(II)錯体5bはS=1/2の低スピン錯体である。かご状錯体1cに包接するだけではスピン状態の変化は引き起こされなかった。一方、かご状錯体1b内でコロネン7に挟まれた集積体1b⊃(7・5b・7)は、詳細な1次元、2次元ESRスペクトル測定から、スピン軌道相互作用を通してS=1/2と3/2が混成している状態であることが明らかになった。
以上のように、箱型の自己組織化空間を用いた簡便かつ精密な新規金属精密集積法の開発に成功した。最大3分子までの平面状金属錯体を距離や種類を厳密に制御して集積できることを示し、特異な金属間相互作用をUV-vis、ESRスペクトル測定、また磁化率測定やX線結晶構造解析により明らかにした。さらには包接による金属錯体のスピン状態の制御を達成し、自己組織化空間が包接金属錯体に電子的摂動を与えうることを示した。今後、より高次な金属集積体や種々の平面状分子と組み合わせることで新規機能性素子の創製につながると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Spin-Crossover by Encapsulation2009

    • 著者名/発表者名
      小野公輔
    • 雑誌名

      Journal of the American Chemical Society 131

      ページ: 2782-2783

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ひとりでに積み重なる分子-次世代ナノテクノロジーへの新たな挑戦-2008

    • 著者名/発表者名
      吉沢道人
    • 雑誌名

      現代化学 453

      ページ: 52-56

    • 査読あり
  • [学会発表] Spatial Electron-State Control of Planar Nickel and Cobalt Complexes by d-π Interactions within Organic Pillared Coordination Cages2008

    • 著者名/発表者名
      小野公輔
    • 学会等名
      YAMADA会議
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場
    • 年月日
      2008-09-02

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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