研究概要 |
本年度は主に、フォトリソグラフィを用いた磁場輸送のための磁場チップおよび、シリコン深堀プロセス(MEMSプロセス)を用いた格子型シュタルクアトムチップの設計・加工を行った.磁場チップについては、裏面からの観察のために放熱性の良いサファイア基板に厚膜Alワイヤを加工し、要求仕様である7A,1secあたり100msecパルスを満たすために電流破壊実験を行った.その結果、幅200um/厚さ20umで発熱を抑えられることが分かった.この試作磁場チップを真空チャンバにセットアップし、Sr原子のレーザ冷却およびバイアス磁場による3P2状態のSr原子の磁場トラップまで成功している.シリコーン製シュタルクチップについては、SOIを用いたダブルマスクプロセスを設計し、厚さ20um、ピッチ15um、サイト数19の格子型の電極と共に、Srの安定プローブ光用の光ファイバガイドを作製した. さらに、新しい観察系としてシリコンフォトダイオードアレイをシュタルク電極の各サイト直下に配置することを考え、東京応化製OCD(Ohka Chemical Diffusion)によるリン拡散をn型シリコンに施しpnジャンクションを作製する.シュタルクサイトの直下にフォトダイオードを配置することで、原子を高NAで観察することが出来る.さらに電極間隔数ミクロン、サイト間隔も数ミクロンにスケールダウンした場合にも、チャンバ外からでは観察できないものも可能になる.
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