昨年度は、最近注目をあびるGPUを用いた数値計算も試みてみました。GPUは4万円程度で購入できる安価なものであっても、約400 Gfopsの性能を持ち、これは汎用のCPUの5倍程度の数字です。C言語ベースの開発環境であるCUDAがリリースされてからは科学技術計算への応用も活発に試みられています。GPUを衝突系のN体計算に応用する際の問題点は、今のところGPUでは単精度の計算しかできないということです。そこで私は、全体の計算の中で単精度では桁数が不足する部分にのみ2語を割り当て、複数の演算を組み合わせて実効的に倍精度が得られるようにしました。他のほとんどの演算は、単精度で行われます。この結果、計算精度もGRAPE-6と同等以上のものが得られ、性能も、60万円以上で市販されているGRAPE-6Aと同等のものが得られました。
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