研究課題
本年度において最優先の研究活動は、昨年度までに開発が終了した各ハードウェアの統合と、全体試験後の観測開始であった。本研究員は、本年度前半に観測サイトのあるアメリカ合衆国ハワイ州と日本を4往復した。まず、検出器を国内で統合試験した後、空路運搬した。ハワイ大学での再チェック後、観測サイトであるマウナロア山に運び最終調整を行った。さらに望遠鏡への設置後、調整・試験・望遠鏡全体での動作確認を行い、観測に備えた。この成果を9月の日本物理学会で発表した。また、並行して、学術会議シンポジウムに登壇し、超高エネルギーニュートリノ観測の将来性について発表した。本年度後半は、観測・取得データの解析・論文化が最重要であった。10〜11月にニュートリノ天体を狙った天文観測を行った。12月に観測を共同研究者に引き継いで帰国し、取得データの解析と博士論文の執筆を行った。この頃カンマ線バーストGRB081203Aが視野内で発生した。閃光現象は観測できなかったものの、可視光での明るさの上限をつけることに成功した。この結果とニュートリノ観測の速報を合わせ、GRB Coordinate Networkに投稿した。また他にも取得データを解析し、複数のカンマ線バーストや活動銀河核からの超高エネルギーニュートリノ放射について、流量の上限値をつけた。この成果を博士論文にまとめ、12月下旬に提出した。その後は、検出器の理解を深めるため、2009年1月まで渡航して宇宙線の観測を行った。同月末、博士論文の審査継続が決まり、引き続き論文化を続けることとなった。観測取得データの解析を含め、3月の日本物理学会で発表した。本年度完了予定であった博士論文執筆については、来年度の早い時期に完了予定である。
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GRB Coordinates Network (GCN) Circular
ページ: 8632-8632
http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/~ashra/GRB081203A