1.GEOTAIL衛星搭載低エネルギー粒子計測器のイオン検出部にはMCP(マイクロチャンネルプレート)が用いられている。GEOTAIL搭載MCPによって検出された太陽・天体(Soft Gamma-ray Repeater)からのガンマ線によるカウントレートから、入射フラックスなどの物理量を算出するために、我々はGEOTAIL搭載MCPのガンマ線に対する量子効率を決定した。室内実験とGEANT4を用いたモンテカルロシミュレーションから、量子効率が入射ガンマ線のエネルギー・入射角に依存し、0.2〜2.6%であることを見出した。このようなMCPのガンマ線に対する較正は、打ち上げ前の実験ではなされなかったため、この実験結果は、GEOTAIL搭載MCPが観測したSGR1900+14巨大フレア(1998年8月27日に発生)の解析を行い、定量的な議論をする上で不可欠である。(SGR1900+14巨大フレアの解析についての論文は現在執筆中であることを申し添えます。) 2.2005年9月7日に発生した大規模太陽フレア(GOES CLASS X17)に伴って放射された中性子が、地上の太陽中性子望遠鏡・中性子モニターによって高い統計的有意性で検出された。これらの信号から、太陽表面での中性子のエネルギースペクトルを推定するために、その発生時刻を仮定しなければならない。中性子は太陽フレアで加速されたイオンと太陽大気との核反応で発生すると考えられることから、その発生時刻の推定にはガンマ線領域での光度曲線が必要である。GEOTAIL衛星はフレア開始から終了までのガンマ線光度曲線を観測しており、それによって中性子の発生時刻を推定することが可能となった。これに基づいて中性子のエネルギースペクトルを推定した結果、パワーロー分布となることを見出した。さらに、中性子の放射は長時間続くことから、電子と比較してイオンの加速は長時間継続することを見出した。 以上、本年度の研究実施計画に記載した通りの研究成果1とそれ以上の研究成果2が得られた。
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