軟ガンマ線リピーター(以下SGR)と呼ばれる超強磁場を持つ中性子星が存在することが知られており、ごく稀にクエーサー並に明るい巨大フレアを起こす。巨大フレアのフラックスは非常に大きいため、エネルギースペクトルについて、信頼できる観測がこれまでなかった。 我々は、1998年に発生したSGR1900+14からの巨大フレアのエネルギースペクトルに制限を付けるために、地球電離層と地球表面を導波管として伝搬するVLF(Very Low Frequency)電波に着目した。SGRからの強烈なガンマ線は地球電離層に大きな擾乱を与えており、その擾乱はVLF電波の急激な減衰として観測されていた。この観測データとシミュレーション結果を比較することにより、この巨大フレアのピーク時のスペクトルが熱制動放射であることを見出した。 異常X線パルサー(以下AXP)も、SGRと同様に超強磁場中性子星(マグネター)だと考えられている。マグネターの多くは暗い近赤外対応天体を持つが、その放射機構は未解明である。 マグネターにおける近赤外線放射メカニズムを明らかにするために、我々はすばる望遠鏡に装着されているIRCSを用いて、パルセーション探索を行った。その結果、近赤外線放射はパルスしておらず、Pulsed fractionが17%以下であることを見出した。この結果により、放射メカニズムを特定することまできなかったが、超新星爆発後に形成されたdebris diskからの放射である可能性が高まった。今後のAdaptive Opticsを用いた観測に期待される。
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