研究概要 |
本研究の目的は,企業内研究技術者の職務への動機付けを高め技術組織を活性化させ,新しい取り組みを自発的に行わせることを目指したマネジメント手法を提案することである,本研究目的に関し,2007年度は下記について研究を行った. 第1に,研究開発入材の活性度を5つの観点から測定するツール(チャート表示)を作成した.報告者は本ツールを年に数回行われる社内面談にて,より効果的な上司・部下のコミュニケーションを実現させるための中核的資料として,心理学・技術経営の知見をべースに作成した.実際に面談時で使用したことにより,たとえば,部下はどれだけ技術開発に対する夢を持っているか,現在までの技術開発に関する組織への自らの貢献を整理できているか,日ごろの問題解決にどれだけ創造的に取り組んでいるか,などの部下の心理・行動側面に関する活性状況を上司が数値的に把握できるようになった.このことにより,上司は適切な研究開発コーチングを行うことに成功し,部下のチャレンジ精神の醸成に大きく影響を与えたことが実験後の部下へのアンケートおよび年度末の人事考課資料にて明らかになった。 第2に,組織マネジメントの観点から,チャートにより数値化された研究開発人材の活性度を利用し,組織階層の視点で活性・不活性の原因を探った.また,活性の数値的関係を利用し,知的な相互作用をデザインする方法論も検討した.活性評価指標5つのうち,ある項目に秀でている者はそうでない者と相互作用させることにより,組織全体を活性させるという狙いである.ここでは上司は面談のときのような直接的な関与はせず,もっぱら相互作用を起こす潜在的ネットワークを見つけるだけである、本取り組みは次年度に本格的に検証を行う予定であるが,個人の活性度をベースにした潜在的ネットワークの探索と活用の視点は,技術組織マネジメントの新しい視点であると考えている.
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