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本年度の研究目的は、トリクロロメチルケトンを新規エステル等価体として用いた直接的触媒的不斉反応の開発と展開であった。このうち、1「新規ブレンステッド塩基-プロトン酸複合触媒を設計・合成し、シン選択的なアルドール及びマンニッヒ型反応において不斉収率を大幅に向上させる」に関しては、シクロファンの面不斉を基盤とした多機能触媒の合成が難しかったために他の触媒系の検討を行ったところ、これまでに報告例のない希土類アリールオキシド-キラルPybox配位子-リチウムアリールオキシド混合触媒系において高い収率、ジアステレオ及びエナンチオ選択性で目的のマンニッヒ体を得ることに成功した。これはα-アルキル置換エステル等価体を求核剤とする直接的触媒的不斉マンニッヒ型反応の初めての例である。現在本反応の基質一般性及び生成物のβ-アミノ酸誘導体等への変換反応の検討を行っており、すみやかに学術雑誌に投稿する予定である。また、アルドール反応に関しても、収率や立体選択性等の点で改善の余地を残すものの本触媒系で生成物が得られることを確認しており、今後更なる条件の検討を行い収率及び立体選択性の向上を行う予定である。
また、2「エステル等価体として初めての直接的触媒的不斉アルドール-ティッシェンコ反応の開発に取り組み、3連続不斉中心の同時構築を達成する」に関しては、上で述べたように現在アルドール反応の収率・立体選択性の向上を行っているところであり、その知見をもとにティッシェンコ反応への展開を行っていく予定である。
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