研究概要 |
2006年5月,千葉・幕張メッセで開催された地球惑星科学関連学会合同大会にて2件の口頭発表を行った。2006年7月には、シンガポールにて開催された3rd AOGS国際会議にて2件の口頭発表を行った。また、国際学会では初めてとなる流星科学セッション:PS10 Meteor Scienceのチェアも勤め、AOGSに大いに貢献できた。 学会での発表研究からは、流星科学をまとめた博士論文を包括するものとそれを発展させた内容である。流星研究から流星体温度は黒体温度として特徴づけられることが筆者の研究から明らかになった。その場合、近日点距離が0.1AU以下の流星群では揮発性物質であるナトリウムの枯渇が示唆されるが、近日点距離が0.1AUであるふたご座流星群でもナトリウムの枯渇が観測により確認されているため大きな謎とされていた。これを解明するための手段としてふたご座流星群の母天体である小惑星フェートンへの探査ミッションを構想し、学会誌へ投稿・受理された。母天体の特筆すべき特徴は、惑星から小惑星へと変遷した、いわゆる特異天体であるということである。近年その存在は確認され始めている。しかし、物理的特長に関しては、その絶対的な数の少なさと突発的な出現理由からほとんど解明されていない。 特異天体を観測的に研究するため、2006年12月からハワイ大学のInstitute for Astronomy(IfA)へ異動した。その期間には特異天体研究の第一人者であるDr. Jewittが在籍している。彼と毎日のように議論を交わすことにより多くの知見が得られ、新たな分野のの開拓を進めることができている。また、大望遠鏡を比較的自由に使用できる環境に身をおくことで多くの特異天体候補の観測に成功している。今後もIfAの環境を存分に生かして、特異小惑星の研究に邁進していきたい。
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