研究課題
本研究は、近傍銀河を構成する個々の天体を研究することにより、(1)いつ、どのような状況で銀河が生成されたのか、(2)その後銀が内で星生成が起きたのか、(3)さらには、現在の銀河内部の星間空間における物質の循環までについて三つの視点から銀河の化学進化史を調べる。この三つを組み合わせた全体として、現在の近傍銀河を形作る天体、星間物質はいかなるものかを観測に基づいて調べる。本年度発表した論文は、主に大小マゼラン星雲をスピッツァー宇宙望遠鏡で分光観測した結果である。さらに炉座矮小銀河の結果も国際研究会ですでに発表し、近く論文として投稿する予定である。また、比較対象となるわれわれ銀河系の天体を研究した論文も発表した。こういった研究対象の銀河は、金属の含有量がそれぞれ異なっている。これらの論文の結果をまとめると、金属量が少ない銀河ほど、炭素が酸素よりも多い星が高い頻度で検出される。これらの論文の結果をまとめると、金属量が少ない銀河ほど、炭素が酸素よりも多い星が高い頻度で検出される。さらに、金属量が少ない銀河では、SiCダストよりも炭素単体でできているダストの含有量が相対的に高くなる。また、母体となっている銀河の金属量とダストの放出率との間には特に相関がないことが明らかになった。このことを総合した解釈は以下の通りである。これまでは金属量が少ない銀河では物質の循環がおきにくいと理論的に予測されていたが、われわれの観測結果をみる限り、物質の循環事態は起きているようである。ただし、循環している物質の成分は、銀河ごとに異なる。地球上の土壌の大事な成分であるケイ素の化合物は、金属量が少ない銀河では少なくなるようである。
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