研究概要 |
正の正則断面曲率を持つ複素空間形の,特殊な構造を仮定しない余次元一般の実部分多様体に対して,Simons型の積分公式を与えた.また,得られた積分公式を利用して,第二基本形式の長さ,スカラー曲率との関連から実部分多様体の性質を調べた.従来,複素空間形の実部分多様体を研究する際には,ホップのファイバー束を利用する手法が主として用いられてきたが,この積分公式を用いることにより,ホップのファイバー束を利用せずに直接部分多様体の構造を調べることが可能となる. また,この積分公式を用いて,法接続が平坦,またはsemi-flatであるような複素空間形の余次元一般の実部分多様体の断面曲率に関する挟撃問題に対するいくつかの結果を導いた. 一方,正則断面曲率がゼロではない複素空間形のCR部分多様体のリッチテンソルの性質を調べることにより,正則分布の次元が2より大きいとき,recurrentなリッチテンソルを持つ法接続がsemi-flatなCR部分多様体は存在しないことを示した.これは,実超曲面のリッチテンソルに関する既知の結果の拡張となっている.また,定理の証明の過程で得られた結果を用いて,複素空間形のpseudo-Einstein実超曲面に対する特徴付けを行った. 複素空間形の実超曲面に対しては,第二基本形式が正則分布上でtotally umbilicalと同様の性質を持つという条件を調べた.これは従来のtotally η-umbilicalという概念を拡張した新しい概念である.これによって,totally η-umbilicalな実超曲面とruledな実超曲面に対する特徴付けを行った.
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