研究課題/領域番号 |
07041002
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西田 正規 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (60088549)
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研究分担者 |
伊藤 太一 筑波大学, 農林工学系, 講師 (40175203)
スプレイグ デービッド 筑波大学, 歴史・人類学系, 講師 (90282285)
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キーワード | セレンゲティ / 石器分布 / GPS / 黒曜石 / リモートセンシング / GIS |
研究概要 |
96年の7月から9月にかけてタンザニア、セレンゲティにおいて現地調査を実施した。本年は200ヶ所に調査方形区を設定して石器分布調査を実施する予定であったが、実施できたのは30ヶ所に留まった。例年乾期には草が枯れ地表観察が容易であるが、95年末からの雨期に雨量が多く、その後乾期に入ってもしばしば降雨があり、調査地は深い草原に覆われ地表観察が困難であったからである。 このため調査の主力を昨年度に採集した石器資料の整理作業に向けるとともに、予定していたGPS測量のための基準点の設置、リモートセンシングのための地上調査を実施た。これにより、すでに調査した101ヶ所の調査区で採集した1404点の石器について、種類、石材、重量、採集地点などについてデータベース作成を終えた。 これを予備的に集計したところ、調査方形区の約60パーセントに石器が分布していること、方形区で採集した石器の数量は150点から0点までの分布を示すこと、水晶と黒曜石製の石器が全体の70パーセントを占めていること、黒曜石製の平均石器重量は約1グラムであり、水晶製に比べ1/2であること、などが明らかになった。 水晶はセレンゲッティ地域に産出するが、黒曜石は遠隔地から持ち込まれた石材である。黒曜石製の石器が小さなことは、この石材が効率的に利用されたことを示している。また、各調査方形区の石器点数は連続的な変化を示し、並外れて高密度な地点はない。この時期の社会が活動の拠点をもたない遊動社会であったことを示しているものと推測できる。 現在、これまでに得られた資料についてGISを用いたデータ解析手順の確立を急いでいる。
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