研究課題
1.研究調査の目的a)昨年の調査の継続として、残っていた400点余の資料の調査研究を行ない、本国際術調査を終了する。b)調査内容は資料の写真撮影、計測、関連資料の複写、アイヌと隣接諸民族の民族学的資料の検索、収集である。また、出版のための写真撮影を別途に行う。c)昨年の調査によってMAEからライプツィッヒの民族学博物館に移管された資料があることが明らかになった。その追跡調査を実施する。d)これとの関連でベルリンの人類学博物館のアイヌ資料の予備調査を行なう。2.研究調査の経緯a)ロシア側研究分担者の招聘8年4月1日-4月18日に研究分担者であるロシア科学アカデミー人類学民族学博物館の副館長兼シベリア部長を招聘し、千葉大学および函館、札幌、、帯広の博物館において共同研究者と研究調査の成果について意見交換、夏の調査についての具体的な打ち合わせを行なった。b)現地調査ペテルブルグでの調査を7月22日-8月2日にかけて実施し、MAE所蔵のアイヌ資料について基本的に調査を終了した。続いて,ライプツイッヒの民族学博物館においてMAFから交換寄贈された資料の調査を行ない、さらに、ベルリンの人類学博物館においてアイヌ資料の所蔵状況を見学し、今後の共同研究について話合いを行なった。c)研究会2回の公開研究会と4回の研究会を実施した。公開研究会第1回 8年4月14日 於帯広百年記念館、市民、道内外関係者および研究者を対象に7年度調査研究の成果について公表。300人ほどの参加者と意見交換ができたことは非常に有意義であった。第2回 9年3月22日 於千葉大学文学部、7、8年度調査について成果を公開する。対象は関東地域の市民、関係者、研究者とする。研究会第1回 8年4月13-15日 於帯広百年記念館、8年度現地調査の打ち合わせ第2回 8年10月25、26日 於北海道立アイヌ民族文化研究センター、資料の整理およびカタログ(調査報告書)について協議第3回 9年1月23-25日 於東京国立博物館、調査の成果とカタログ(調査報告書)の編集第4回 9年3月21-23日 於千葉大学文学部、公開研究会およびカタログ(調査報告書)の編集作業3.研究調査の成果1)MEAのアイヌ資料は1826〜1947年の一世紀以上にわたる千島、サハリン、北海道のアイヌのものであり、時代的にも空間的にも広範囲にわたる。2)そのために国内はもとより諸外国の博物館にもないような貴重な資料が少なからず散見される。3)中でも、1902〜1912に収集収蔵されたB.ピルスツキ-の資料は極めて多岐にわたっており、サハリンアイヌの生活文化の全容を知る上で有効であることはと特筆に値する。4)ロシアでの調査はヨーロッパ、アメリカ各地の博物館、研究機関所蔵のアイヌ資料調査に続くものであるが、この一連の調査がアイヌ研究の従来の弱点や空白を補填し、アイヌ文化を公正かつ客観的に評価できる可能性が増大した。4.研究成果の公開タイトル「ロシア科学アカデミー人類学民族学博物館アイヌ資料」を露、英、日の3ヵ国語により9年10月をメドに出版予定、「平成9年度データベース情報公開」助成を申請した。
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