研究課題/領域番号 |
07041004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青柳 正規 東京大学, 文学部, 教授 (40011340)
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研究分担者 |
松山 聡 東京大学, 文学部, 助手 (40272447)
内田 俊秀 京都造形芸術大学, 助教授 (30132822)
宮坂 朋 弘前大学, 人文学部, 専任講師 (80271790)
渡辺 道治 九州東海大学, 工学部, 助教授 (70269108)
STEINGRABER シュテファン 東京大学, 文学部, 教授 (00272451)
鷹野 光行 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (20143696)
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キーワード | 発掘調査 / イタリア / ローマ時代 / 別荘遺跡 / 床モザイク / 遺構保存 / 青銅貨 |
研究概要 |
現地での発掘調査は、7月17日から9月27日にかけての約70日の期間で行った。対象面積は、約275m^2である。また、発掘作業と並行して10月2日までの期間、タルクィニア国立博物館において発掘資料の整理作業を行った。 今年度の調査によって、以下に述べるような知見を、新たに得ることができた。まず、調査の対象となっている建物の創建より、時期の遡る複数の遺構の存在を確認した。また、昨年までに判明していた、建物の壁の先後関係に基づく遺構の変遷に加えて、モザイク仕上げの施された床面も改装されていることが明らかになり、そのモチーフの検討から、具体的な改装の時期にまで迫ることができた。さらに、昨年来調査を続けている、中庭に面した回廊は、当初の予想よりはるかに規模が大きく、今年度の調査によってもそのプランを確定することはできなかった。こうした点から考えると、当遺跡にはかなり大規模な別荘遺構が埋没しており、我々の発掘調査がその中枢部を対象としていることが、改めて認識されたとともに、別荘としても極めて特徴的な構造を有していることも明らかになってきた。このことは、回廊の規模や、それに取り付く床モザイクが施された斜路の存在などからも明らかである。 また、検出した遺構に関しては、イタリア当局との緊密な連携の下、文化遺産としての将来的な有効活用をも視野に入れた、保存処置の作業も開始した。こうした分野に関しては、イタリアに一日の長があり、そのノウハウの一端に触れることができたのは、非常に有意義であった。 なお出土遺物については、今年度に限ってみても、各種の土器、建築部材、大理石製の彫像片、青銅貨や各種青銅器を中心とする金属製品、ガラス製品、各種の有機遺物など、およそ7m^3にのぼる資料を採集しており、現在精力的に整理作業を進めている。
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