研究課題/領域番号 |
07041004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青柳 正規 東京大学, 文学部, 教授 (40011340)
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研究分担者 |
松山 聡 東京大学, 文学部, 助手 (40272447)
内田 俊秀 京都造形芸術大学, 助教授 (30132822)
宮坂 朋 弘前大学, 人文学部, 専任講師 (80271790)
渡辺 道治 九州東海大学, 工学部, 助教授 (70269108)
STEPHAN Stei 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00272451)
鷹野 光行 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (20143696)
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キーワード | 発掘調査 / イタリア / ローマ時代 / 別荘遺跡 / 床モザイク / 遺構保存 / 青銅貨 |
研究概要 |
今年度は、既調査範囲に隣接して150m^2の範囲で新たに発掘区を拡張したほか、昨年度の調査未了部分で作業を継続した。また、遺跡全域の広がりを推定するために、調査範囲に隣接して、北、東および西の区域で系統的に表面踏査を行った。この踏査により、およそ3,500m^2の範囲において遺物の分布が確認されており、未調査部分を考慮に入れると、優に5,000m^2を超える大規模な遺跡であることが推測される。 本年度までの調査において、この遺構を大きく五つの建設年代に区分できることが明らかになってきた。出土遺物や壁体の構成、床モザイクの意匠などから、主要な構造物に関しては、紀元前1世紀頃から4世紀頃の時期をあてることができる。特に床モザイクに関しては、配色や意匠の異なるものが認められ、時期を異にした大規模な改修が複数回加えられていることが既に判明しているが、各期の具体的な時期比安に関しては、まだ検討を要する部分も残る。 また、当該建物の中枢を構成すると考えられる回廊に関しては、今年度の調査においてもその規模を推定根拠は得られなかった。しかしその形態や規模から推測する限りにおいては、遺跡の全体像を考える上で、この回廊の位置づけが重要な役割を果たすことが、より鮮明になってきた。 なおVano13と呼称される部屋より、直径30cmから45cmほどのコンクリート造の短い円柱が数本確認された。この円柱跡は浴場のヒポコーストの床を支えるものなのか、あるいはまったく別の目的のものなのか、いつの建設時期に入れるべきか、現在のことろ不明である。 遺物は、建築部材、建築装飾材を中心に多く出土している。そのほかの遺物としては、アンフォラやテッラ・シジラ-タのほか日常雑器に類する土器が主体であるが、大理石の小型彫像の破片や、装身具、青銅貨、金属器、ガラス製品など、種類は多岐にわたり、現在整理作業を進めている。
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