研究分担者 |
AQUINO Terri アクレ大学, 講師
ROZAS Washin クスコ大学, 講師
BREINER Laur ボストン大学, 助教授
村田 雄二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70190923)
足立 信彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10175888)
遠藤 泰生 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50194048)
増田 一夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70209435)
柴田 元幸 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90170901)
高橋 均 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50154844)
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研究概要 |
昨年度の調査研究はカリブ海地域の集中調査であったのに対し,今年度は研究代表者・各研究分担者が長年研究を行ってきた地域を分散して調査した。今年度の研究実績は次の5点にまとめられる。 1.カリブ海における社会文化的偏差について 遠藤によるカリブ海地域の調査によって明らかになったのは,ともに旧英領植民地でありながら,プランテーション経済への従属など複数のベクトルに引き裂かれているジャマイカと,カリブ性の強調という方向性をもつトリニダードトバゴの違いである。 2.ヨーロッパにおける植民地の問題について 足立の調査によって,各植民地からの移民および彼らがもたらす文化的影響について常に意識されているオランダと,植民地の影響がほとんど念頭に上らないドイツの差異が,文化のクレオール性に対する理解に違いを作り出していることが明らかになった。 3.黒人の問題について 増田と木村の調査によって,フランスにおいて,アフリカとカリブ海世界の黒人性は共通の問題群ではないこと,クレオール文化の大きな源泉であるカリブ海黒人文化がペル-国民文化の中で無視される存在であることなど,クレオールの限界が指摘された。 4.華人の問題について 村田の調査によって,東南アジアにおいて大きな社会集団である華人の研究に対して,カリブ海地域における華人の研究が,華人社会文化の拡散の研究を超えて,文化のクレオール性という概念を通した新たな展望の可能性はあることが明らかになった。 5.先住民の問題について 木村の調査によって,政治的単位としての自律性を強めているアマゾニア先住民たちが,そのよりどころとして「文化」を求めているが,その文化が実は外部の文化と混じりあったクレオール文化にほかならないことが明らかになった。
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