クレオール文化からみた広域移民の比較研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07041005
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 木村 秀雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10153206)
• 研究分担者: 村田 雄二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70190923) ; 足立 信彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10175888) ; 高橋 均 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50154844) ; 増田 一夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70209435) ; 遠藤 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50194048)
• キーワード: クレオール / カリブ海 / 文化的主張 / 文化的適応 / 普遍性 / 人権 / 居住空間 / 中華圏

研究概要

計画の最終年度である本年度においては、海外の研究分担者の招聘と、日本側研究分担者による海外補充調査とを二本の柱にして研究を実施した。
1.招聘の実績
アメリカ合衆国からブレイナ-とゴッサーを、またペル-からロサスを招聘した。それぞれ日本側研究代表者および分担者と研究の終了および出版計画について打ち合わせを実施したほか、ブレイナ-とゴッサーは東京大学教養学部アメリカ研究資料センターにおいて、Mappingthe Caribbean Literatureと題して(97・11・18)、またロサスは東京大学教養学部地域文化研究学科において、La cultura negra en el Peruと題して(97・11・12)それぞれ講演した。また、招聘に先立ち日本側研究者がアメリカ研究資料センターにおいて、「広域移民の諸相」と題する共同講演会(97・7・26)を開催し、共通問題意識の涵養に務めた。
2.海外調査
遠藤を合衆国・カナダ・連合王国へ、増田をフランスへ、高橋をブラジルへ、村田を中国へ派遣した。
それぞれの調査において、1)調査地におけるジャマイカ系移民が、アジア系移民と比べて自らの文化を強く主張せずに、相手の文化への適応を重視しようとしていること(遠藤) 2)フランスにおいては、少数者である移民たちを取り巻く社会問題が、文化でなく人権という普遍的問題として捉えられていること(増田) 3)ブラジルにおいては、中流層がクレオールの中心を担うより下層の社会層から自らを切り離し、北アメリカ型の居住空間を形成しつつあること(高橋) 4)中華圏が、華人という各国においてクレオール化している人々の存在によって初めて定義しうる存在であること(村田)が明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] 足立 信彦: "ヨーロッパという理念" 『ヨーロッパの歴史』を読む. 49-52 (1997)
• [文献書誌] 足立 信彦: "言語・人種・多様性" 言語・国家、そして権力. 47-75 (1997)
• [文献書誌] 足立 信彦: "移民のいない多文化主義" 開発と民族問題. 169-183 (1998)
• [文献書誌] 高橋 均: "コンキスタドールと中南米植民" 講座世界の歴史25. (1997)
• [文献書誌] 高橋 均: "シモン・ポリ-バルの〈ジャマイカ書簡〉にみる開発と先住民と革命" 開発と文化2. (1997)
• [文献書誌] 村田 雄二郎: "中華ナショナリズムの表象(発表予定)" 江戸の思想. 8. (1998)
• [文献書誌] 増田 一夫: "現代史と〈永遠の哲学〉" 歴史と文法. 257-269 (1997)
• [文献書誌] 増田 一夫: "テクノフォビアの思想" 現代思想. 25-8. 240-249 (1997)
• [文献書誌] 遠藤 泰夫: "トロントのジャマイカ人" 教養学部報. 415. 1-2 (1997)
• [文献書誌] 木村 秀雄: "八人の先住民集団は民族か" 植民地主義と文化. 182-211 (1997)
• [文献書誌] 木村 秀雄: "アマゾン開発と熱帯林(発表予定)" 地球の環境と開発. (1998)
• [文献書誌] 木村 秀雄: "El problema de mano de obra en las sociedades andinas(発表予定)" Revista del Museo Arqueologico. 43. (1998)
• [文献書誌] 高橋 均: "ラテンアメリカ文明の興亡(共著)" 中央公論社, 478 (1997)
• [文献書誌] 村田 雄二郎: "カミング・マン(共訳)" 平凡社, 176 (1997)
• [文献書誌] 村田 雄二郎・増田 一夫: "帝国とは何か(共著)" 岩波書店, 279 (1997)