研究課題/領域番号 |
07041006
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
小川 英文 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (20214025)
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研究分担者 |
樋泉 岳二 日本学術振興会, 特別研究員
ユセビオ デイソン フィリピン国立博物館, 考古学部門, 主任研究員
ウイルフレド ロンキリオ フィリピン国立博物館, 考古学部門, 部長
小池 裕子 九州大学, 大学院, 教授 (40107462)
青柳 洋治 上智大学, 外国語学部・アジア文化研究所所長・教授, 所長 (60146800)
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キーワード | 貝塚群 / 墓地遺跡 / 黒色土器文化層 / 赤色土器文化層 / 環境・遺跡利用 / 人骨・動植物遺体 / 同位体分析 / 生計活動 |
研究概要 |
(1)平成7年度の調査はまず貝塚群の分布調査を念入りに行い、発掘地点の選定を行った。これまで研究代表者を中心とする限られた者の知見であった貝塚群の重要性を日比両国の多数の考古学者が認識できた。同時に貝採集活動の民族調査も共同で行った。 (2)22ケ所の分布調査の結果、新たに墓地遺跡が2ケ所明らかになった。いずれも16〜17世紀の中国陶磁器を副葬品とする土坑墓群であるこれらの遺跡は、直線で2kmの距離隔てているが、一方は河岸の貝塚中に、他方は標高80mの山上にとその立地を異にしている。特に河岸墓地は長さ500mに及ぶもので、当時中国人・日本人町があったヌエバ・セゴビアの隆盛を伝えている。 (3)墓地遺跡では生活址が検出され上下2枚の文化層が検出された。上層は炉・柱穴などの遺構をともなう黒色土器文化層で、下層は赤色土器文化層である。両者のレベル差は30〜40cmでこれは時代差を表している。このような時期の異なる文化層はラロ貝塚群の中で初めて検出され、環境・遺跡利用の変遷を知るうえで重要な発見であった。 (4)貝層中からしばしば人骨が検出された。これまで生活残滓廃棄場として貝塚を認識していたが、墓地としてまた生活の場としての機能を合わせ持っている可能性があるため、今後、各貝塚ごとに生活領域・廃棄場・墓域を確定し、各遺跡間の機能の変異を明確にする。 (5)遺跡から得られた人骨・動植物遺体は当時の生計活動を知る上で重要な遺物である。人骨に関しては古食餌復元のため同位体分析を行っている。動植物遺体は同定作業を行っている。
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