研究課題/領域番号 |
07041011
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
浅野 和生 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (80167890)
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研究分担者 |
中谷 功治 大阪大学, 文学部, 助手 (30217749)
杉井 健 大阪大学, 文学部, 助手 (90263178)
福永 伸哉 大阪大学, 文学部, 助教授 (50189958)
益田 朋幸 女子美術短期大学, 専任講師 (70257236)
辻 成史 大阪大学, 文学部, 教授 (90127259)
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キーワード | 西洋中世 / 美術史 / 考古学 / 建築史 / ビザンツ史 / 発掘調査 / 海上交通 / キリスト教文化 |
研究概要 |
平成7年度はゲミレル島第三教会の内部東端のアプス周辺約48平方メートルを発掘した。この発掘により、アプス内では階段状のシンスロノン(聖職者席)が発見された。シンスロノンの下部では保存状態がよく、漆喰で貼った化粧板が残存していた。アプスの西に続くベ-マ(内陣)では、日程の都合により床面まで掘り下げるのを保留し、床から約40センチメートル上で作業を中断した。この部分では、かつて祭壇の四隅に立てられていたと見られる大理石の円柱と柱頭が出土した。また、大理石の彫刻や浮き彫り片約200点、土器片数十点、青銅製コイン3点が出土した。大理石彫刻片は、テンプロン(祭壇を囲む石造の障壁)などの建築装飾の断片と思われる。発掘区の建築物については平面図、立面図、断面図を作成した。出土品は現場で番号をふってカタログ化し、写真撮影、実測図作成をおこなった後、トルコの法令にしたがいフェティエ博物館に搬入した。また発掘と並行して、この教会の現存するすべての壁面を内・外面にわたって実測し、立面図を作成した。 出土した大理石彫刻の多くは、初期ビザンティン時代、5世紀末から6世紀にビザンティン帝国の各地で流行した様式を見せている。この年代は建築物の特徴からこれまでに得られた推測とも一致するので、ほぼ確実といえる。一方、コインはいずれも11、2世紀のもので、床面上約40センチメートルの瓦礫の中から出土した。このことから、教会は12世紀までにはすでに廃墟となっていたことが想像される。ただし建てられてから12世紀までのいつ、どのような原因で廃墟となったのかはまだ不明である。この点については来年度、床面まで発掘を進めれば知見が得られると期待される。
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